ブラック&ゴールド

国産ミヤマクワガタ飼育記


ミヤマクワガタと言えば、まず特徴的なのは頭部の耳状突起ですが、これが当初アンバランスな体型に見え飼育しようと思うまでには至らなかった訳ですが
見慣れてくると逆に他にはないその特徴と、大顎が「基本(ヤマ)型」「フジ(サト)型」「エゾ型」と分けられる事も相まって飼育心を擽るクワガタのひとつへ...
それに、♂体表の微毛も特徴的で、以前に飼育した金色の微毛に覆われたルニフェルミヤマほどではないにしてもなかなか惹かれるものがあります。

飼育するにあたっては、まず温度管理が重要で、産卵セット時も幼虫飼育〜羽化に際して22℃前後をキープしたいところです。
と、言ってはみたものの当飼育スペースではエアコン管理等行っていないので、夏場は発泡ケースに保冷材頼りと季節によって温度差の波が大きいです。
そして、夏場に発泡ケースに入りきらなかったり等で仕方なく常温飼育(それでも少しでも涼しい場所へ)となった幼虫は少なからず影響を受け、最悪は
折角蛹化したにも関わらず蛹化不全で☆になったものもいます。
これは間違いなく温度が高かった為の蛹化不全であり、夏場に蛹室を確認できたなら早めに高温域から非難させた方が無難です。
また、より大きなサイズを期待したい場合、やはり低温での幼虫飼育でじっくりと2年1化型で羽化させる方が楽しみがあります。
しかし、同じ環境下でも2年1化とはならず中には1年1化で羽化する♂も実際にいますし、これはもう自然の摂理と思う他ないと思います^^;


ここでは、2007年にワイルド♀で得られた国産ミヤマ幼虫が、当管理人飼育環境下において2009年7月に羽化するまでを纏めたものです。
2009年に羽化した国産ミヤマ最大で73,1mm(2年1化型)でした。


    2009年7月26日羽化 岡山 足守産 (WF1)




2007/07/07

国産ミヤマのブリード開始!採集個体の♀のみを産卵セットへ。
産卵セットの内容ですが、コバエシャッター小ケースを使用し、若干水分多めにした発酵マットをケース9割り方まで硬詰めしていきます。
後は転倒防止にバークチップ等を適度入れ、ゼリーを配したらセット完了!
産卵セットは保冷材を使用し22℃前後の冷暗所で管理していきます。



2007/07/21
産卵セットから2週間後、ケース側面から卵が確認でき、無事産卵してくれているのが分かり一安心です。





2007/08/18
産卵を確認してから4週間後、ケース側面、底面に幼虫を確認!
♀の方は、8月に入り取り出してあります...幼虫を確認できた事で、まずは第一関門突破といったところでしょうか。





2007/11/27
割出しまで随分放置してしまいましたが、その間も温度の方は適温キープで、結果16頭Get!
この時季になると温度管理も温室の飼育棚最下部で丁度良い感じなので夏場の産卵セットの時期に比べ随分楽になるので助かります。



ここから♀は430ccのプリンカップでマット飼育、♂は2000ccの瓶でマット飼育と余っていたカワラ菌糸瓶へと分けて管理
その後、カワラ菌糸交換時にマット飼育へと移行して(コバエシャッター大ケースに♂3頭)国産ミヤマ幼虫全頭マット飼育へ...


2008/07月〜8月にかけて♀が羽化するも発泡ケースに入りきらず温度管理が不十分な個体が数頭羽化不全...♂は蛹化不全で☆に...orz
ミヤマにとって蛹化、羽化時の高温域(26℃以上)は避けるように管理しなければ蛹化、羽化不全率は高くなります。
なんとか温度管理ができた幼虫は2年目へと突入です。



2009/07/07
産卵セットを組んでから丁度2年、大ケースに3頭の多頭飼育の方で蛹室が確認できていたので掘ってみることに...
掘り進んでいくと結構な大きさの蛹室が確認でき、飼育ケースのコーナーにも小さめの蛹室を確認...しかし3頭いたはずが、1頭消失^^;
左の画像の蛹室は羽化するには十分すぎるほどの大きさ(長さ)ですが、右の画像の蛹室はケースコーナーにあり左画像の蛹室の半分程です。
蛹自体の大きさは右の画像の蛹に負けす劣らずの感じなので、もしこのままなら蛹室が狭すぎて羽化不全の確率大でしょう。
左の画像の場合を想定するなら、羽化後そのまま活動するまで掘らずにおく選択肢もありますが、右の画像のような事も起こり得るので今回は
掘って確認した事によって羽化不全を未然に防ぐ事ができました。

      

この後、2♂共に人工蛹室へ...
こうして改めて蛹化までを振り返ってみると、国産ミヤマ初ブリードで2年をかけようやくここまで辿り着いた事は感慨深いものがあります。
とは言え管理的には大ケースに移してからはマット交換は一度も行っておらず、ケース内マット湿度と温度管理に気を使っただけで、それほど手間を
掛けたわけではありませんから、管理温度にさえ気をつければ飼育自体は簡単な方だと思います。





2009/07/26
待望のミヤマクワガタの羽化開始です!
確認した時には既に上翅を閉じ後翅を伸ばしきって頭を起こす段階で、その後無事に羽化完了しました。
大ケース同居だった♂も2日後に無事羽化完了しています。

                                                       羽化後5日目
      



2009/08/17
♂は順次羽化してきているので、♀の入った430ccのプリンカップの方をチェックです。
今回、飼育数が少ないので断定はできないのですが、ミヤマの場合、なかなか外側から蛹室が確認できるような事が少ないような気がします。
という訳で、プリンカップの方も蛹室があるであろう独特の変色したマットの部分がカップ底に見受けられたので、慎重にカップを返してみると...
蛹室の中から無事羽化していた♀を確認!この♀も♂同様2年1化で羽化した事になります。
羽化した♀の目を見ると白っぽいので羽化してまだそれ程経っていないと思われます。




今期羽化した♂♀共に夏のこの時期は現段階で最も低く管理できて温度18℃前後なので、その場所で秋口まで...それ以降は様子を見て
活動しないようなら来春以降のブリードで累代飼育へと繋げていきたいところです。

      

今回の国産ミヤマ初ブリードで羽化した♂の中で最も大きかったは73,1mm...小さかったのは65.8mm(1400瓶)という結果でした。
現在も昨年ワイルド♀をセットして得た幼虫を飼育中で、現在のところ殆んど2年1化型になりそうです。
今後できる事なら、それぞれの大顎の型の出現には3令以後の飼育温度が関わっているのでその辺りも来期以降のミヤマ飼育をする上で
経験できればと思います。



〜THE END〜

                                                                              
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